ブランドプロフィール|RANGORIE ランゴリー

インドの女性の一人ひとりの可能性を発揮できる社会をめざしたESG経営モデルのヨガウェア

東京ヨガウェアにまた新たなヨガウェアブランドがラインナップに加わりました。それが、インドと日本の架け橋となり、現地の農村部の女性の雇用創出を目的としたエシカルなアパレルブランド「RANGORIE(読み方:ランゴリー)」。インドの都市をコレクション毎のテーマに設定し、世界的なデザイナー種井小百合氏によって創られたオリジナルデザイン柄が毎回高い評価を得ています。そんなエスニックテイストなプリント柄が特徴の、「RANGORIE|ランゴリー」について、ブランドディレクターを務める綿石早希さんに聞いてみました。

インドの女性たちと共に一人ひとりがその可能性を最大限に発揮できる社会を作ることを目的に2019年にスタートしたアパレルブランド「RANGORIE|ランゴリー」。まだまだ女性の地位が低い状況のインドで、現地の女性たちの技術トレーニングや小規模縫製工場の立ち上げをバックアップし製造販売に取り組んでいる。実はこのプロジェクトはあの、プリンターや複合機で有名な世界のRICHO(リコー)が持続可能な未来の社会を作るプロジェクトの一環としてスタート。ブランドの裏側にも注目してもらいたいブランドから目が離せない!

ランゴリーのエシカルヨガウェア

ブランドを立ち上げるきっかけについて

 2010年に現在のビジネスパートナーの江副が、リコーの仕事でインドの農村部に滞在したことがきっかけです。インドで最も貧しいといわれ、村の男性陣は出稼ぎで出払ってしまい、女性と子供ばかりの村で江副が見たのは、貧困にあえぐ姿ではなく「私たちはもっとできる。もっと勉強したい。もっと働きたい。私にも、できる」と大きな眼をさらに大きくして語る女性たちの姿でした。彼女たちと一緒に事業を興したい、そんな想いを抱えながらもその可能性を試す一歩を踏み出せていませんでした。
 一方、保守的な地方の家庭に育った綿石は「女性はこうであるべき」という固定概念にとらわれていましたが、アメリカやカナダなど海外で暮らす中でたくさんのパワフルな女性たちに出会い、その固定概念から次第に解放され、ようやく自分らしく生きられるようになっていました。「私以外にも”あるべき姿”に囚われて不自由を感じている女性って多いんじゃないのかな。そんなのもったいない!」
 そんな中、江副からインド滞在の話を聞き意気投合。リコーの社内で開催された新規事業コンペに応募し、インドでのモノづくりをスタートさせました。
ランゴリーのエシカルヨガウェア
写 真プレゼンで熱弁する綿石氏。応募総数214件の中から13チームが選ばれた注目度の高いランゴリー。

ブランド名の由来について

 ブランド名のRANGORIE(ランゴリー)は「Rangoli(ランゴリ)」と「Lingerie(ランジェリー)」を組み合わせた造語です。Rangoli(ランゴリ)とはインドの家庭の家族の幸せを願って玄関先に描かれる吉祥文様のことです。このランゴリと下着のランジェリーを組み合わせてランゴリーというブランド名にしました。ブランド立ち上げ当初は下着を中心に製造していたのですが、インドの色・柄をあしらった下着が可愛すぎるので運動するときのブラトップとして着たいというお声をたくさんいただき、ヨガウェアのラインナップも展開することになりました
ランゴリーのエシカルヨガウェア
写 真ランゴリはインドで色を付けたお米や小麦、色鮮やかな花びらを使って地面や床に描く吉祥文様。家に幸運を招くランゴリを描くのは女性の仕事とされ、女性を象徴する模様と言われています。

ランゴリーのブランドコンセプトとは?

ランゴリーのエシカルヨガウェア
 ランゴリーは、インドに伝わる伝統的な模様や色使いを現代的な機能性素材と掛け合わせたアクティブウェアブランドです。「ひとり一人が可能性を最大限に発揮できる社会を作る」をミッションに掲げて活動しています。心ときめくインドの柄をあしらったウェアを提供することで、女性自身が自分の身体の変化に意識をゆきわたらせ、自分らしくパフォーマンスを発揮するお手伝いをします。事業の持続的な成長を通じて、インド・ビハール州に住む農村部の女性グループに職業機会の提供をすることで女性の地位向上に貢献します。
ランゴリーのエシカルヨガウェア
写 真インドの工房では笑顔の美しい女性たちが働くことで輝いている。

 ランゴリーの強みは、インドの工房を現地の女性たちと一緒に立ち上げ、縫製工場と非常に(心の)距離が近いことです。また工房の立ち上げに協力してくれたNGO団体Drishttee(ドリシテ)ともリコーは10年以上の付き合いがあり、現地でのトラブルにもスムーズに対応できることです。チーム内にパタンナーを抱えており、お客様からうかがった改善点を素早くパターン・仕様の変更に落とし込めます。また母体がリコーという印刷技術に強みを持つメーカーで、布への印刷も得意分野です。
ランゴリーのエシカルヨガウェア
 インドでの生産はブランドの強みでもありますが同時に弱みでもあります。文化の違うインド人メンバーとの連携は常に完璧というわけではありません。特に品質と納期に対する考え方の違いは常にお互い歩み寄りが必要なケースがあって、うーん、どうしよう?と頭を悩ませる時も正直あります。この辺も生産体制の仕組みづくりの構築を少しずつ浸透させていければと考えています。

ランゴリーのエシカルヨガウェア

ランゴリーではコレクション毎にインドの都市をピックアップし、その街の風景や伝統文化などからインスパイヤされたデザインプリントをモチーフに展開しています。これまでの4回をリリースし、2023年6月に5回目のコレクションとなる「VARANASI(バラナシ)」コレクションを展開します。ガンジス川に映る水面やその周りを彩るパラソルや花々などランゴリーの世界観でプリントデザインされたアイテムをご用意いたします。

ランゴリーのエシカルヨガウェア
写 真5thコレクション「VARANASI|バラナシ」のイメージビジュアル

ランゴリーに携わるチームやメンバーをご紹介ください

ランゴリーのエシカルヨガウェア

1.綿石早希|Saki Wataishi/ブランドディレクター
株式会社リコーにソフトウェアエンジニアとして入社。男女の役割意識の強い家庭で育ち、アメリカ留学/駐在・カナダMBA取得など海外の価値観に触れることでありのままの自分を表現できるようになった。この経験を通じて、固定化された役割意識にとらわれて自身の可能性を発揮できない人を支援したいと考えるようになる。ランゴリーのブランド責任者として活動中。

2.江副亮子|Ryoko Ezoe/品質管理担当
株式会社リコーにメカニカルサポートエンジニアとして入社。リコーのBoP(Bottom of the Pyramid)プロジェクトにてインドのビハール州マドゥバニ村に滞在する。そこでインド農村部の強い男女の役割意識に驚き、女性オーナーによる女性用品店販売フランチャイズストア「Women’s Shop」の着想を得る。のちにリコーと現地NGOドリシテによって実現し、現在ではインド国内に75店舗展開している。現在はキッズヨガやバレエエクササイズのフリーインストラクターとして活躍する傍らランゴリーの品質管理担当として活動中。

3.内海知子|Tomoko Utsumi/パタンナー兼生産管理担当
株式会社リコーにケミカルエンジニアとして入社。のちにリコーの社内新規事業プログラムTRIBUSの事務局として社内ベンチャー支援を行う。支援対象の社内ベンチャーのひとつである「ランゴリー」を担当する。幼少期よりファッションに興味があり、プライベートで洋裁を嗜んでいる経験から、自分のスキルがランゴリーで活かせるのではないかと思い参画。パターンナー、生産管理担当として活躍中。

4.清野絵理沙エルヴェ|Seino Eliza hervet/SNS・販促担当
フランス人の父と日本人の母の間に生まれる。幼少期からファッションにも興味を持ち、大学在学中にファッションモデルとしてECサイトやファッション誌面でも活躍。ランゴリーの写真撮影にモデルとして参加した時にディレクターの綿石とブランド哲学についてアツく語りそのまま意気投合。今ではランゴリーのSNSの運用や営業・販促活動も幅広く担当している。

協力パートナー

NGO法人Drishttee(ドリシテ)
インドの農村部の生活向上をミッションに掲げた社会的企業としての側面も持つNGO。リコーとは10年来の付き合いを持つ。インドの生産工房の立ち上げ・運営の支援と、日本への輸出など、農村部の女性だけでは対応できない内容を支援。

ランゴリーのエシカルヨガウェア

ランゴリーのエシカルヨガウェア

工房Amayra(アマイラ)
ドリシテの主催する職業訓練学校の縫製コースを卒業した女性たちで構成される職業女性グループ。10代~40代の10名程度の女性たちで構成される。ランゴリーからの呼びかけに応えて共同で工房を立ち上げることを選択。

ランゴリーのエシカルヨガウェア

デザイナー 種井 小百合/Sayuri Tanei
2009年より渡仏、Jean-Paul Gaultier 社にてプリント生地メインのコレクションデザイナーを担当。その後、高田賢三氏(KENZO創設者)の元でニット・グラフィックデザインのアシストをする。前衛的なモードデザイン、フォークロアデザインを作り上げてきた経験を元に、現在コレクションデザイン、プリント・テキスタイルデザイン、アートピース等の企画・制作を請け負う。同時にパリジェンヌのテイストを入れた自身のブランドSAYURI TANEIを展開する。プライベートでは、ボリウッドダンスやベリーダンス等様々なダンスを嗜む。
ファッションの中心地パリで活躍した種井小百合氏は、体を美しく見せるデザインや、繊細な柄のデザインを得意としており、ランゴリーのプリント柄やアパレル商品のデザインを担当いただいています。

ランゴリーのエシカルヨガウェア
写 真インド工房での技術指導や生産管理についてレクチャーする内海氏。

ランゴリーチームとヨガとの関係は?

 インドで販売しているブラを見て、「日本でも発売してほしい」「柄が可愛いので見せブラとして着用したい」というお声を日本のお客様から頂いたことがきっかけでヨガで使えるスポーツブラを作り始めました。たまたま当時のメンバー3人(綿石・江副・内海)が全員ヨガを実践していたこともあり、作っては着用して改善するということを繰り返せる環境にあったことも一つの要因です。
 綿石は20代からヨガを実践しており、ヨガの後の身体のスッキリ感、瞑想のあとのクリアになった感覚、それを通じて日々の感情のコントロールが次第にできるようになり、そのパワフルさを仕事や私生活で実感していました。特に好きなヨガポーズはバカアーサナです。ハンドスタンド系のバランスポーズは得意ではないのですが、いつもコアやバランスを意識させてくれる私にとっての先生のような存在のポーズです。またヨガの実践を深めるにつれ、その発祥の地であるインドにもさらに惹かれていました。特に私がエキサイティングだったと感じたムンバイには3ヶ月ほど滞在し、色々なトラブルも体験し人生経験の糧にもなりました。ボリウッドの中心地でもあるムンバイは海外文化も受け入れる国際的な都市で特に海岸沿いのドライブは最高でしたね!そんな刺激を受けてきた経験をこれからのものづくりに反映させていきたいと考えています。
ランゴリーのエシカルヨガウェア

魅力あふれる商品や生産について

 ランゴリーの商品の柄にはどれも着る人を応援したり、幸せを願う意味が込められています。例えば過去にリリースしたクジャクと花唐草の(ピーコックフラワー)柄。クジャクはインドで古来から魔よけとして使われているモチーフで、花唐草には永遠に続く幸せという意味があります。「悪いものを退け、幸運へ導く」そんな意味を込めた柄です。すべての柄に想いを込めてデザインしています。
 アイテムとして人気があるのはレギンスです。カラフルなレギンスとシンプルなトップスを組み合わせて購入いただくことが多いです。特にスタッフがお薦めしているアイテムは、実はブラシリーズです。下着のパターンを専門としていたパタンナーがパターンを引いており、しっかりとしたホールド感でリピーター様にご愛顧いただいてています。
 サイズ感についてもよく聞かれるのですが、ランゴリーではS/M/Lの3サイズを展開しています。(東京ヨガウェア様ではS/Mでの展開になりますがご要望いただけましたら東京ヨガウェア様でもお求めできるようにいたします。)ヨガウェアシリーズには非常に伸びの良い素材を使っているので、少しゆるく感じる人もいらっしゃるようです。迷った際は一つ下のサイズをおすすめしています。
 ランゴリーはインドの農村部の女性たちと一緒にモノづくりをする。というのがコンセプトですが、実はすべての商品がインド製ではありません。インドでの工房立ち上げ準備中にパンデミックが起こり、一時的に日本での生産を行っていたためです。パンデミックの収束が見えはじめた2022年3月よりインドの工房立ち上げを再開し、同年10月に本格稼働がはじまり、当初のコンセプトを実現できるようになりました。今後の生産は順次インドに移行していく予定です。

ランゴリーのエシカルヨガウェア
写 真インド工房での本格稼働に向け、日本でも社内でプロジェクトの進行を打ち合わせるメンバーたち

今後の取り組みやビジョン、ブランドとしてのミッションについて

 ブランドのミッションである「ひとり一人が可能性を最大限に発揮できる社会」を実現するために、小さいながらもインドで女性職人さんの工房を共同で作るところから始めました。共同で工房を立ち上げるにあたっては、女性職人グループのメンバー自身が一部ローンを組んで資金を捻出しています。そのローンを無利子で提供(マイクロファイナンス)しているのがNGO法人ドリシテです。縫製の仕事を継続して受注し、利益を出すことでこのローンを返済していく仕組みです。その縫製の仕事を継続して受注するため、品質や納期のインセンティブに繋がっています。一方的に支援を受ける通常の寄付の仕組みでは実現しづらいモチベーションの仕組みを作りました。現地NGO法人ドリシテとともに、この仕組みを横展開することで同様の工房を増やしていくことで、ランゴリーの工房の女性だけでなくほかの職業女性グループでも職業機会を得られるようにしていきます。

ランゴリーのエシカルヨガウェア

最後に東京ヨガウェアご利用の方へメッセージを

 東京ヨガウェアをご利用いただいているみなさま、はじめまして!ランゴリーです。ランゴリーは着心地の良さ、デザインの可愛さとそこに込めた想い、生産背景などこだわりのたくさん詰まった商品を展開しています。着用した皆さまのパフォーマンス発揮のお手伝いができれば光栄です。まだまだインド工房での再稼働がスタートしたばかりで課題が多いブランドですが、ヨガを愛していらっしゃる皆様のお気に入りブランドの一つとしてセレクトしていただけるよう今後も邁進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

<取材:2023年5月>